由良の門を わたる舟人 かぢをたえ ゆくへも知らぬ 戀の道かな
曾禰好忠
新古今和歌集・恋一・1071
由良川の河口の流れが速い瀬戸を漕ぎ渡る船頭が、櫂をなくして行く先も分からずに漂っていく。そんなようにこれからどうなるのか行く末が分からない私の恋の道行きだ。
舟人から私の恋の道にシームレスに移動するのいいよねcFQ2f7LRuLYP.icon
この味は現代語訳では出ない。31音の原文のあじ
和歌の伝統上では由良は紀伊国の歌枕
万葉集に用例
妹がため玉を拾ふと紀の国の由良の御崎にこの日暮らしつ(巻七、藤原卿)
他の例
紀の国や由良のみなとに拾ふてふたまさかにだにあひみてしがな
新古今・恋一・1075・藤原長方
上の万葉歌の本歌取り
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